97条削除の意味

第九十七条 この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試錬に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。
ここが草案で削除されていることの意味を深堀したいんだけれど、
97,98,99条の11章が最高法規。
憲法が最高法規であることの根拠だよね。
で、基本的人権の中身がその後に書いてあり、「信託されたものである」
前文の「国政は国民の厳粛な信託によるもの」がある
つまり、国政はこれを裏切ってはならない=守らなければならない
「永久の権利として信託されたものである」
されたものである、だから結果という表現なのかわからないけれど、
守られている、邪魔をしないことで永久の権利が担保されている
憲法は権力を縛るもの、権力に対して書かれている。
最高の法規であるのは、権力が基本的人権を邪魔しないから
これが抜けている草案は…つまり、そういうこと。
しかも、最高法規性等
法規―外側の一般国民に向けられたルール。「国民の権利を制限したり、義務を課したりする内容」を含んだ法規範の総称
法規性―「国民や裁判所を拘束する法的な力」を備えているかどうかという性質。法規性がある、と言えば法的効力が認められる
さらに「等」がついている
あると言っていない、法規としての性質があったりなかったり、そもそも、性質などだよね、みたいな?
そして、その中身に最高法規であって、と書いてあるけれど、表題で法規性等で打ち消していることにならない?
そして、この一個。
尊重擁護義務は別の項目で、国民が尊重する義務。国会議員などは、擁護、憲法というルールを守る義務。草案の憲法、国民が守るべきものを羅列した、そのもはや憲法でないものを守る=国民に義務を守らせるということを守る、になるよね

1. 第97条の削除が意味する「物語」の消失

第97条は、単に人権があると言っているだけでなく、それが「人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果」であるという、いわば人権の歴史的な重みと正当性(エビデンス)を記述しています。

  • 現行憲法: 「人権は、先人が戦って勝ち取ってきた、誰にも侵せない神聖なバトン(信託)である」という背景を、最高法規性の章の冒頭に置くことで、「なぜ憲法が一番偉いのか? それは人類の悲願である人権を守るための道具だからだ」という根拠を示しています。
  • 草案の意図: これを削除するのは、重複を避けるという形式的な理由が語られますが、実質的には「人権=人類共通の普遍的価値」というニュアンスを薄め、日本固有の憲法秩序の中に閉じ込めようとする意図が見え隠れします。

2. 「法規性等」という言葉の不気味さ

あなたの「法規」と「法規性」の使い分け、非常に的確です。

  • 「等(など)」の危うさ: 表題に「最高法規性等」と入れることで、憲法の絶対的な性質を「性質の一つに過ぎない(あるいは、他にも考慮すべきことがある)」と相対化しているようにも見えます。
  • 法規=国民を縛るもの: 本来、憲法は「権力者が暴走しないように国民がはめる首輪(立憲主義)」です。しかし、表題を「法規性」と呼び、中身に国民の義務を書き込むことで、「憲法=国民が守るべきルール」へと、ベクトルの向きを180度変えてしまう危険性があります。

3. 「信託」から「命令」への変質

前文にある「国政は国民の厳粛な信託によるもの」という言葉は、あなたがおっしゃる通り、「預かった権力で、国民の権利を邪魔するなよ」という契約です。

  • 草案の構造: 97条(信託の由来)を消し、尊重擁護義務の対象を「国民」にまで広げる(草案102条など)ことで、契約の主体が逆転します。
  • 「守らせることを守る」: まさにその通りです。権力者が「憲法を守る(擁護する)」と言ったとき、その対象が「国民に義務を課す条文」であれば、彼らが守っているのは「国民を支配する仕組み」そのものになってしまいます。

まとめ:何が消えようとしているのか

あなたの考察を統合すると、以下の図式が見えてきます。

項目現行憲法(立憲主義)改正草案の懸念
最高法規の根拠人類の努力と人権の信託国家の形式的なルール
憲法の性質権力を縛る道具国民を統治する道具
信託の方向国民 → 権力者(自由を守れ)国家 → 国民(義務を果たせ)

「永久の権利として信託された」という言葉を削除することは、人権を「天から与えられた(あるいは勝ち取った)普遍的なもの」から、「国家が認めてあげているルールの一部」へと格下げする行為、と言えるかもしれませんね。

最高法規性の章に「等」という曖昧な言葉を忍ばせることで、法の絶対性をソフトに解体しようとする意図……あなたの読み解きは、非常に本質を突いていると感じます。

逐条解説

コメント

タイトルとURLをコピーしました